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現在は小学生から高校生まで幅広い年代を教えています。
今回は、フットワークのコツである脱力について考えてみたいと思います。
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Contents
バドミントンのフットワークが苦手な人へ
フットワークが苦手といってもそれぞれに苦手と思う部分が違うと思います。例えば、フットワークに速さがないや、疲れやすい、体力がない、足の運びがわからないなど、きりがありません。
そこで、僕がコツとして皆さんにお伝えしたいのは余計なリキみを使わない事です。少し極端かもしれませんが、脱力するということです。
脱力と聞いて、え?脱力??となりましたか?
実はフットワークでは脱力が非常に重要なのです。フットワークが苦手な人は一生懸命足を動かそうとしていますが、なかなかテンポよく進みません。
なぜでしょうか。
いろいろ原因はあるかと思いますが、その一つに脚の筋肉が必要以上に緊張している。足のリキみが原因となっています。
この脚のリキみがフットワークをぎこちなくさせ、足の運びを雑にさせてしまうという内容をここから始めていきたいと思います。
これらをしっかり理解して実践に導入できればもっとフットワークはスムーズな足の運びになり、速くて疲れづらい動きになります。
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物の加速・減速と、安定・不安定のメカニズム
物理的な内容になりますが、なるべくわかりやすく説明します。
まず先に予備知識として、加速とは物体の不安定によってつくられて減速とは安定によってつくられるという事です。
いくつか例を上げて確認します。例えば人が前に歩くという動作は「後ろ側の足が前に蹴りだしてバランスを前に崩す事」と「前に出す足が上がる事で重心を前と上にあげてバランスを崩す事」によって歩くという動作を成立させます。
バランスを前に崩したにも関わらず転ばないのは、重心が動いた先に素早く次の足を運ぶことによって安定させ転びません。そして、次の1歩としてまたバランスを前に崩す事を繰り返し歩行します。
仮に、前にバランスを崩した先に安定させる足を運ばなければ転倒という事になりますね。
余談ですが、球体も同様でバランスを崩すことによって動きますが、球体の場合は不安定による加速・進行と同時に即、面が設置と安定を繰り返します。不安定と安定を極限に極めた物体という事になります。
改めて、バランスとは重心の位置の事でこれを進行方向に傾ける事で加速になります。
加速のためにバランスを崩して進行方向に重心を動かすにはその瞬間、身体を不安定な状態にする必要があり、それが脱力という事になります。身体に力が抜けていて脱力した状態だと、少ないちからで身体の重心が動き加速しやすい状態という事です。逆に、全身緊張状態だったとすると、身体がどっしりと身構えてしまい上手く重心が崩れません。これがちからを入れて足を運ぼうとしているに全然加速しない。または、身体が動いてくれないというメカニズムになります。
そのため、速いフットワーク実現したい場合は脱力して素早く重心を進行方向に崩し、足を運べばいいことになります。しかし、ただひたすら身体を脱力して不安定にすればいいのではありません。競技として身体の安定性が非常に重要です。
この部分を念頭に置いて次に進みます。
リキみと脱力を同時にするのが速いフットワークのコツ
さて、先ほどから安定・不安定からのリキみ・脱力で話を進めていますが、常に脱力をしていればいいわけではありません。脱力での加速中も体幹に安定性がなければ減速してしまいますし、スイング動作をする直前はしっかり安定させなければなりません。
また、速い動作をするには関節が素早く動く必要があります。関節の周りにはたくさんの筋肉がついており、それぞれの方向に関節の角度を誘導します。筋肉の付き方の特徴として、主力筋と拮抗筋という言葉があります。
一つ筋肉を例にすると肘を曲げる動作をします。このとき上腕二頭筋(力こぶ)が主力筋で、裏側にある筋肉の上腕三頭筋(にの腕)が拮抗筋です。素早く肘を曲げるには上腕二頭筋のみがしっかり収縮する事で肘が動きます。
このとき、脳からは「上腕二頭筋は収縮しろ」だけでなく「上腕三頭筋は緩め」という指示がでます。この「緩め」の指示がポイントです。
この例では、単純な動作なのでわかりやすいですがこれがフットワークなどの全身運動だとどうでしょうか。動作のぎこちなさとはこの「緩め」の指示が十分ではなく、関節をまたいだ両方の筋肉つまり、主力筋と拮抗筋が緊張とやや緊張しているので、スムーズなフットワークができずにぎこちない足の運びになってしまうのです。
これが、リキみと脱力の両方をするという意味になってきます。
構えの脱力(リラックス)について
フットワーク動作で動き出しが遅い選手は構えの段階で必要以上に身体が緊張しています。理想なのは自然体で直立しているくらいリラックスしている状態です。
もちろん、本当に直立しているとフットワークの動き出しとして素早く各方向に足が運べないために姿勢を低くする必要があります。
姿勢を低くすると重心が低くなる=安定=加速しづらいという側面がありますが、姿勢を低くする事で相手のスマッシュのレシーブをしやすくなったり、1歩目の足の運びが広く取れたりという側面があります。
姿勢を低くすると背中を丸めるわけではないので必ず膝の関節を曲げる必要があります。膝の関節を曲げて身体を支えるのは太ももの筋肉です。その中でも素早く地面を蹴って加速するのは太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)です。
姿勢を低くしたときに太ももの前の筋肉が緊張していては次の動作に素早く移れません。これによって構える姿勢が重要になってきます。膝を曲げたときに膝だけが前に出るような曲げ方をすると、太ももの前の筋肉を使います。これはよくありません。
理想的な姿勢を低くする方法はお尻を下後方にさげる方法です。こうすると体重を支える太ももの筋肉は後(ハムストリングス)に移り太ももの前の筋肉は脱力した状態になります。筋肉は脱力した状態からちからを入れると最大限のパワーを発揮できるので素早い動き出しが可能になります。逆に脚の筋肉が必要以上に緊張していると、そこからちからを入れても思うようなパワーを発揮できません。
構えの状態で脚が不必要に緊張していると、余計な足元の安定と筋力の不十分な瞬発力によりフットワークの足の運びだしが遅くなってしまいます。
また、蹴りだして片足が空中にある状態で余計な緊張は減速の原因になってしまうで、極力リラックスして、重心が流れる方向に身を任せるようにしてください。
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以下、表にしました。構えと蹴りだしには太ももの前(大腿四頭筋)が大きく関与します。
脱力 | 力み | |
構え | 蹴りだしが速くなる | 蹴りだしが遅くなる |
蹴りだし | 弱い重心移動
加速(弱) |
強い重心移動
加速(強) |
足の運び | 加速 | 減速 |
バドミントンにおけるフットワーク技術とは何か
フットワークのすべてに対する技術の話を総括できないので、あくまでもこの記事の内容に沿った意味でのバドミントンにおけるフットワーク技術とは何かという話をしたいと思います。
記事全体を通して、脱力とリキみについてご説明させていただきました。
この部分はバドミントンをある程度やっていると、理屈で説明できなくても自然と身体が理解して足運びの動作が最適化されていきます。
ここまでは初級~中級の話だと思います。
それでは中級~上級は何を上達させるべきなのか。
脱力とリキみの切り替えの速度
脱力とリキみのギャップの大きさ
が必要になります。脱力と力みの切り替えの速度とは、その瞬間ごとちからを入れていなければいけない筋肉と素早い動作の為に脱力していなければいけない筋肉を瞬発力よくしっかり切り替える事です。これが上手くいかないと、どこかの筋肉はいつまでも中途半端に金曜して動作を妨げてしまいます。繰り返しになりますが、そうならないためにも脱力していなければいけない筋肉を理解して、脱力している状態を意識して足を運ぶ必要があります。また、脱力とリキみのギャップの大きさについても、最大筋力を上げてることによる瞬発力のみでなく、最大限リラックスさせることにより最高の瞬発力を発揮できます。これが常に中途半端に筋肉が緊張して脱力しきっていないと、筋力があっても瞬発力には結び付きません。筋肉が緊張した状態は誰でも意識できると思います。しかし、重要なのは脱力した状態を意識して足を運べるかどうかです
加速途中は脚のみではない。体幹の筋肉を使う。
最後に補足の内容になります。それは、足を運んでいる最中は脱力のみではないという事です。というのも、ここまでの脱力やリキみの話はあくまでも脚の部分に限った話です。という事は全身を脱力させてはいけません。
体幹は常に緊張させて身体そのものは安定させる
加速は不安定によってつくるものです。この不安定は身体の重心の事です。それにたいして、身体そのものは体幹(腹筋等の筋肉)をしっかり緊張させて、安定させないとそのまま崩れてしまいます。また、身体そのものを安定させていたほうが重心を崩しやすくなりますので速い足運びのフットワークが実現します。
ここまでの内容で、不安定=加速いう言葉で説明しましたが。もしかすると不安定という上の方からグラグラ揺れているような状態をイメージするのではないか感じます。ここのフットワークで言う不安定とは足もとから不安定を作り、上方(体幹部分)はがっちり安定させて常にスイングに備えるようにします。そのため、不安定だと加速できると言ってフラフラ動くのは大きな間違いですので注意が必要です。
加速=不安定を作るために足を上げる
加速にはしっかり地面を蹴る事も重要ですが、それ以上に身体を足元から確実に不安定にすることが重要です。ここまでの内容では足の運びの状態では脱力=不安定=加速という事でお話しをしました。ここの脱力とは足の筋肉の話でした。ここで言う足の筋肉とは大腿部(大腿四頭筋やハムストリングス)です。
しかし、それだけですべての意味で加速できるわけではなく、もちろん加速するために力を入れる必要がある筋肉が大腿四頭筋の他にもあります。それは腸腰筋です。あまり聞き馴染みがないかと思いますが、腸腰筋の働きは脚を上げる筋肉でもも上げをする時にメインで動く筋肉です。この腸腰筋が活躍する事で大きな足の運びが可能になります。
こちらをご覧ください。奥原選手のネット前に入りこむ姿勢です。
だいぶ加速している状態です。
足を上げると言ってもこれを見て足が上がっているように見えるでしょうか。何を基準に比較するかで考え方が変わってきます。地面と比較してみると足は上がっていません。しかし、奥原選手の体幹と足を比較してみるとお腹と膝の高さはほぼ一緒くらいまで上がっていますよね。
腰程の高さまで足を上げて不安定をつくって加速しながら足がでて床に設置しているという事になります。体幹の筋肉(腸腰筋)で右足をしっかり持ち上げて加速し、対して体幹そのものを安定させているからこそ、脚は適度に脱力して余計な力みをさせずに大きな足の運びができるという事になります。
ただ、足先を見てもらうとわかりますが、つま先ががっつり上がっていますね。つま先が上がっていないと捻挫になりますのでつま先を上げる。そして足を遠くに出すために大腿四頭筋が膝関節を伸ばす程度でかなり大きな足の運びになります。
足の運びで忘れがちな基本のルール
最後に、初心者で忘れてはいけない基本のルールを確認して終わりにします。
それは、必ず利き足で進む事です。例えば右利きなら右足です。
1歩目はどの方向でも自然と右足がでるはずです。最後の1歩はネット前だとランジの姿勢を作ります。これはしっかりと指導者が利き足を運ぶように指導しているはずです。
大切なのは2歩目の左足です。これが、右足を追い越して前に出てしまうと、身体が半身から崩れて最後に綺麗なランジの形になりません。これでは、最後にランジをしているだけの走る動作です。左足は寄せるだけにして右足をその分大きく足を運びましょう。
体力的に辛いのでこの部分で手を抜いてしまいがちですが、走るとフットワークがしっかり別の動作になるように意識して練習しましょう。
以上になります。
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